メールマガジン名: 操体(SOTAI)コラム 自力で自療することのすすめ
マガジンID: 0000132455
データタイプ: ノーマルテキスト
発行周期: 不定期
発行者連絡先: ohori@hi-ho.ne.jp
関連Webサイト:
http://www.hi-ho.ne.jp/ohori/sotai.htm
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目次
●ニュートラルな身体
●操体と少林寺拳法の共通点
●操体は指導者におすすめ
●操体はマニュアル化できない
●負担の少ない歩き方、走り方
●ラジオ体操の功罪←最新コラム
●本日の操体語録by橋本敬三先生
●編集後記
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●ニュートラルな身体
スポーツ、武道などをやっている人で「先生に習ってすぐにできる人
がいるのに、私は練習してもなかなかできるようにならない。どうして
だろう?才能ないのかな?一体何が悪いんだろうか?」と悩んだことは
ないでしょうか?
「できる人は最初からできるし、できない人はずっとできない」とい
う状況はあらゆる分野でおこることだと思います。そういうときは、練
習の仕方が悪いとかコツが掴めないとかの問題はさておき、そもそも身
体ができていないからできない可能性が高いと思います。
みんな自分の身体がマイナス=歪の状態なのに気づかず、ベストな状
態だと思い込んでいます。
例えば、何か武道・スポーツの練習をするときに、明かに肩がおかし
い、足が痛い、腰の調子が悪い、首が痛い…など自覚できる不定愁訴を
抱えていたら、やりたい動きができないことも自分で納得できます。問
題は、自分では全く気づかないような歪みを抱えた人がそのまま普通に
練習して原因が自分の身体にあることに気づいていない場合が多いとい
うことです。「何かわからないけれど、今日は調子が悪い」というとき
は身体が歪んでいるはずです。
同一人物であっても、正の状態と歪の状態とでは、同じ動きをしても
パフォーマンスが全く違います。私は少林寺拳法の蹴り技ではじめてそ
の差を体感したとき、自分でもビックリしてしまいました。
どんな武道・スポーツもまずは身体をニュートラルな状態にして、「
気持ちよく地球に立てること」が基本中の基本です。気持ちよく立ても
しない人がさらにレベルの高い動きでいいパフォーマンスを出せるわけ
がないですよね。ひらがなが書けない人が漢字を書けないのと同じです
。逆を言えば身体ができていれば何をやってもある程度の動きができる
ということです。
私が操体に惚れたのは、歪の状態になった身体を自分で正の身体に戻
せるということです。これは他の療法にはない大きな特長のひとつです
。練習をやる前とやった後に一人操体で身体を整えておけば、高いパフ
ォーマンスを維持することができますし、怪我も減ります。
操体はマイナスの状態をゼロに戻す、またゼロの状態をさらに高めて
プラスに持っていくメソッドとして最適です。非常にシンプルだけど奥
が深い世界なのです。
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●操体と少林寺拳法の共通点
おもしろいことに操体と少林寺拳法は非常にリンクする部分がありま
す。今回は日本で初めての試み?だと思いますが、両者の共通点を書い
てみようと思います。
思想での共通点
少林寺拳法ではダーマを信じろと教えます。ダーマとは大宇宙の大霊
力。何かわからないけれど、ものすごい力でもってこの宇宙が生み出さ
れ、地球も回っていて、みんなが生かされている。そのパワーを少林寺
拳法ではダーマと言っています。そのダーマに魂を分け与えてもらった
のが人間。だから人間は無限の力を持っている。まずは自分を信じろ。
ダーマに生かされていることを感謝しろと説いています。
操体の創始者、橋本敬三先生は「救い」と「報い」という話で説明し
ています。
「救いは絶対。報いは相対。霊は生まれる前から救いが完成されている
のであり、肉は自然法則に順応して統御訓練することによって浄化され
調和されるものである。」
「人が神性を自己に発見し、熟々これを思い、全く神人合一した状態に
於いては病も死も問題の外に置かれる」
つまり、魂は生まれる前から救われているのに、それに気づかずに自
然法則に反したことをするから報いとなって人間は苦しむというわけで
す。生かされていることに感謝し、自然法則に従っていきなさいと説い
ています。
成功した人、大人物の言葉、本などには必ずと言っていいほど『感謝
』という言葉が出てきます。人間は生かされているという感謝の心が基
本であり、ここが欠落している人は寂しい人生をおくることになるので
しょう。
身体運用での共通点
少林寺拳法には柔法という投げ、関節系統の技術体系がありますが、
そのときの「触れの感覚」が操体の操法のときの「触れの感覚」と全く
同じです。(注:ガチンコのパワー柔法でなくてふわっと崩す柔法の話
です)これは合気道、合気柔術にも通じるところがあるでしょう。
・雰囲気、空間、環境をつくる
・相手の心身と調和して一体となる
・相手の動き出しをとらえる
・相手の流れを観て、それに反応していく
・相手が1の力を出せば1の力を10の力を出せば10の力を返してあげ
る
・球の動き、太極の動き、螺旋の動き
・全身の連動、重心移動
などなど〜武術的なコツ、ポイントと全く同じです。
僕の場合は操体を理解するのに少林寺拳法が非常に役立ち、また操体を
勉強することにより少林寺拳法も上達するという同時相関相補性が成り立
ちました。操法をするときの操者の身体運用には非常に高いレベルのもの
が要求されます。はっきり言って身体ができていないとできないのですご
く難しいです。同じ操法でもやる人の身体運用によって全く味わい、効果
が変わってしまいます。これは拳法も同じですね。同じ技でも先生によっ
て全然違います。
要は相手の身体にどこまでついていけるか?どこまで自分の身体を自由
に操れるか?が大事なのだと思います。
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●操体は指導者におすすめ
私は大学少林寺拳法部のコーチをしています。夏合宿へ練習を見に行っ
たとき、休憩時間に、幹部拳士が一回生の女の子を連れてきました。
「先輩、この子、足が痛いって言うてるんですけれど、みてもらえません
か?」
断る理由もなく、「じゃあ、やってみようか〜」とその場でいくつか操法
を試してみました。「あれっ!?さっきより痛くないです!」「よかった
なぁ」
それが噂になり、宿に帰ってから、やれ首が痛い、股が痛いなどで、6,
7人の身体を触らせてもらえました。操体は道具もいらないし、誰でもど
こでもできて、その場でなんらかの変化が身体に現れるので、「すごい」
「おもしろい」「不思議ですね〜」とその夜は大盛況となりました。
今までは拳法しか指導できませんでしたが、操体を学んだことにより、「
痛い」「技ができない」など悩みの根本である身体の「歪み」を正すこと
を指導できる。また、身体のメンテナンス、運び方、つくり方まで指導で
きる。操体に出会えたことにこれほど感謝したことはありませんでした。
相手が喜ぶのは素直にこちらもうれしいものです。
スポーツ、武道などをやっている人は、身体のメンテナンスの仕方を知ら
ないので、「歪」の状態のままで練習をがんばってしまい、より身体を歪
ませて故障させることが多いのです。
操体を知る指導者が増えれば日本のスポーツ界、武道界もかなり変わるは
ずです。まずは身近なところからじわじわと広めていきたいと思います。
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●操体はマニュアル化できない
私は少林寺拳法を修行していますが、こうやって攻撃してきたらこうす
るという状況別の技というのがたくさんあります。(600種類ほどある
とか)
でも、果たして形を全て覚えたとして、それで実際の乱捕りや喧嘩で全
て使えるかというと、そんな上手くいけば誰も苦労しないわけです。やは
り、実戦なれしながら、技の形に共通する理(ことわり)をしっかりマス
ターしないといくら形を覚えても使えないということになってしまいます
。
操体も同じなのではないかと思います。操体の理は「快適感覚を味わう
こと」にあります。これを外れれば操体では無くなるし、これに合ってい
れば無限に形はできることになります。
講習会や組織としての発展を考えると、どうしても形を決めて、順序を決
めてというマニュアルやテキストを作成しなければなりませんが、それは
本来の操体のあり方(自然なまま、相手を素直に受け入れる)からはずれ
てしまうように思います。
習う側としてはマニュアルがあればそれにそってやればいいし、ある意味
、安心できますが、臨床の現場ではなかなかテキスト通りには通用しませ
ん。
私も自分なりに今日は操法をこの順番でやろうと決めて臨床に望んだこと
もありましたが、結局その場の本人の雰囲気で最初に思っていたのとは全
然違う内容になってしまいました。操体は一期一会だからマニュアル化で
きないものなんですね。
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●負担の少ない歩き方、走り方
友人がランニングをしていたら膝の外側が痛くなってきて困っていると
いうことで施術を受けにやってきました。何もしていないときは痛くない
のに、走ると痛みが出てくるとか・・・ 整形外科にいくと腸ケイ靭帯炎
と診断されたそうです。O脚の人がなりやすいスポーツ障害です。
施術前にだらしなく足踏みをしてもらうと、腕はほとんど振れずにドス
ンドスンと大きな足音。足幅も極端に狭い。
「そりゃそんなにドスンドスンと歩くぐらいだから、ランニングのときに
はさぞかし足腰に負担かかっているよ。いくら痛いのを治しても走り方を
改善しないと同じだよ」と気づきをもってもらいました。
おそらく走ったときに頭が大きく上下しているはずです。筋肉で地面を
蹴って、着地のときにモロに衝撃を受けてしまっている走り方。皆さんも
自分の走っている姿を鏡で見る機会があれば頭の上下の揺れ、足音がどれ
ぐらいしているかを意識してみてください。
少林寺拳法でも一緒ですが、頭の上下が無く、足音のしない人は身体の
使い方が上手な人です。
「膝の力を抜いて曲げたら自然ともう片方の足が浮くから、こんな風に
静かにその場足踏みしてみて〜。音がドンドン鳴らないし、頭が上下しな
し身体がねじれないだろう?」と実演してみせました。いわゆる『なんば
』といわれる身体の使い方です。
なんば歩きを体感するには洗面器に水をいっぱいに張ってこぼさないよ
うに歩くとよいです。自然と腰を平行に運ぶ歩き方になるはず。一度お試
しください。
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●ラジオ体操の功罪←最新コラムです♪
ホームヘルパーの実習で特別養護老人ホームへ施設実習に行ったときの
ことです。長年、日本国民に親しまれているラジオ体操を朝会前、利用者
さんのレクリエーション前などに行うところを何度も目撃しました。あの
音楽を聞くと小学生のころ、夏休みに早起きして、近所の神社へ祖父と弟
と3人で体操しに行ったことを思い出します。ラジオ体操があったから、
あのハンコをもらうのが楽しみだったから早起きできたものです。
しかし、ラジオ体操の中身については当時小学生だったときの記憶を辿
ってみても腕が疲れる体操でした。現在、実際にまたやって、操体的な視
点から観ると色々と問題点があることに気がつきます。
(ラジオ体操の問題点)
・ リズムが早すぎてお年寄りにはついていけない
・ 腕を回す動作が多くて疲れる
・ 重心移動の法則が理解されていない。例えば、前後屈、左右側屈、左右
捻りの動きに伴って腰の移動がなされていない。
・ 人間のからだの連動が理解されていない。局所をバラバラに動かすもの
が多い。
・軍隊的にみんなと合わせてやるということがメインとなっており、「自分
の感覚を大事にする」「気持ちよさを感じる」という視点がない。
せっかく同じ体操をするならば、「気持ちよさ」を感じながら無理なくで
きるものに焼きなおすべきです。高齢化の時代に役立つように、できるだけ
体の負担がなく、誰でもできる動きを中心にした方がよいと思います。これ
からは体操ではなく、操体をおすすめします。
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◇本日の操体語録by橋本敬三先生
『骨をもって組み立てられた骨格は一種の連鎖運動装置をなしている』
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◇編集後記
すみません。配信してから気づいたのですが、前回のメルマガでは操体語録
が抜けていましたm(−−)m
「ラジオ体操の功罪」はメルマガの見本として掲載していたので今回はちと
手抜きです。しかし、まだまだネタは書き溜めているので週に一回以上は配
信できると思います。えっ!?そんなに来たらうっとうしいですか?
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