メールマガジン名: 操体(SOTAI)コラム 自療することのすすめ
マガジンID: 0000132455
データタイプ: ノーマルテキスト
発行周期: 不定期
発行者連絡先: ohori@hi-ho.ne.jp
関連Webサイト:
http://www.hi-ho.ne.jp/ohori/sotai.htm
Copyright(C) Sotai Ohori Yuyouin
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目次
●操体とは?
●医武同源(いぶどうげん) 観る訓練
●心の扉を開く
●逃げることは根本解決にならない
↓最新コラム
●安定について
●本日の操体語録by橋本敬三先生
●編集後記
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●操体とは?
操体 そうたい (操体法 そうたいほう)とは、故・橋本敬三医師(18
97−1993)が、日本古流武術の流れを汲む正體術(整体とは異なる)に
東洋医学のエッセンスを加え、さらに近代医学知識を統合させて体系化
したものです。
操体は単なる手技療法、治療テクニックではなく、動物本来が持って
いる原始感覚を取り戻し、正しい体の理(ことわり)を自分の身体の体
感を通して学ぶ実践哲学です。施術では痛いことは一切しません。「気
持ちいい」という快適感覚を味わってもらうことによって全身のバラン
スが改善されていきます。
・筋骨格系の異常改善(肩こり、腰痛、頭痛、膝痛、慢性疲労など)
・身体のバランス改善と定期的なメンテナンス(病気などの予防)
・スポーツ、武道における身体能力の向上・試合前の身体調整
(柔軟性の向上、突き蹴りの威力UPなど)
・O脚、X脚、猫背、姿勢改善など美容的な調整
・不眠、便秘、血行不良、冷え性、足のむくみの改善
・精神安定、リラクゼーションなどの癒し効果...etc
上記に限らず、操体はおよそ全ての症状疾患に効果が出ます。自ら癒し
、養う操体を学べば一生の財産となること間違いなしです。
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●医武同源(いぶどうげん) 観る訓練
最近、街を歩くと自分の前を歩く人、すれ違う人の身体の歪みをチェック
する癖がついてしまいました。恐らく、整体・カイロなど「身体の歪みを正
す」ことを生業としている治療家とよばれる人は皆さんそうなのだと思いま
す。
人が歩くのをみる=視診、動診そのものです。「右肩が下がっているなあ
〜右利きだろうな〜えらい肩が揺れているなあ〜バランスが大分崩れている
なあ〜足首が右へねじれているな〜左膝の挙がりが悪いな〜」などなど。一
度、人の歩く姿を観察してみてください。本当に色んな人がいて面白いです
。みんなそれぞれ歩き方が違います。パッと見た瞬間に水平線・垂直線と身
体のラインを比べてみるのです。これは観察力を高めるよい訓練になります
。やはり、頭が上下左右に揺れずにスーッと歩ける人は身体の使い方が上手
な人ですね。
臨床では、形態観察(いわゆる外面的な形の左右差)だけでなく、内面的
な流れを感じることが大切です。本人がどう動きたがっているのか、重心が
どっちへ行きたがっているのかを感じることができねばなりません。視診一
つとっても非常に奥が深いです。後ろからも、下からも、横からもあらゆる
視点から観ているような感覚が必要となってきます。武術で言う「観の目」
、少林寺拳法でいう「八方目」です。
日頃からそういう訓練をしていると、「見えないものを観る力」が養われ
ます。「こっちからこう触れると崩れるな〜こっちから攻めれば反応できな
いだろうな。こっちの蹴りは大したことないだろうな〜こっちの突きは伸び
ないな〜」というように武術にも役立つのです。医武同源(いぶどうげん)
、操体プラクティショナーはキモチよく相手を崩せてしまうのです。
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●心の扉を開く
40代後半。右膝に水が溜まり、手術して水を抜いた後も無理を重ねて
右膝が曲がらなくなり、それをかばって歩くものだからあちこちの筋肉が
硬直して、足、腰、背中、腹、胸、肩、首までガチガチの状態。「どうせ
病院に行っても治らないし、手術もしたくない」ということで、今はリハ
ビリにも行っておらず、右手で杖をついてびっこを引きながら歩き、横に
なるのも一苦労。そういう状態が2年ぐらい続いているのを心配したお兄
さんが操体を知り、「自分が試しに受けてみて、よさそうなら弟にもやっ
てほしい」という話で出張施術に行きました。
お兄さんの方はほぼ健康体なので、何ら問題なくキモチよさを体感して
満足してもらいました。それを横で見ていた弟さんも試しにやってみよう
かということで、施術させてもらうことになりました。
「一番、安楽な姿勢になってみてください。もし、クッションなどが必要
ならかましてもらっていいですよ。」
「普段、寝るときもいつもクッションを使って一番楽な姿勢で寝るんです
。筋肉が固まっているからどこの何々筋がどこからどう繋がっているのか
、形までわかるんですよ。それを自分で一本一本揉み解してから寝るんで
す。辛いからどうやったら楽になるかを考えながら色々と自分で試して、
ようやくここまで動けるようになったんです。」
「それは間違っていませんよ。人が言うからどうとかでなくて、自分の感
覚を大事にしてください。しかし、筋肉の形までわかるというのはすごい
ですね。今までは無理に筋肉をほぐそうとしていたと思うんです。筋肉は
警戒して固まっている状態ですから、まずは安心させてあげて、喜ばせて
あげなければいけません。自分の筋肉をいたわってあげてください。操体
で微細な感覚を体にとおして気持ちよさを味わっていけば、より早くよく
なると思いますよ。」
右半身がほぼ硬直麻痺状態だったので、できるところから無理なくやっ
ていきました。二人きりになってから、自分の体がどうなっていて、普段
はどうやっていて、どんなふうに辛くて、どういう苦労があって・・・と
いうことをずっと話してくれました。
きっと普段は家族の方には言えないのでしょう。かなりストレスが溜ま
っていたのだと思います。どういう操法をやるとかではなくて、まずは相
手の思いを「あるがままに」受け止めることに徹しました。 施術後は体
がほぐれて楽になったということよりも、その表情から「自分のやり方は
間違っていなかったのだ。なんだか操体でよくなりそうだ。」という期待
感・安心感が観てとれました。次回の予約も快く入れていただき、「自分
で治すから、医者や治療院には行かない」という閉ざされていた心の扉を
少しは開いていただけたようです。今後の体の変化が楽しみです。
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●逃げることは根本解決にならない
先日、本屋で立ち読みしていたら、面白いことが書いてありました。精神
療法の本だったのですが、人間が行動を起こすとき、決断するときには、二
つの欲望があって、それは
1.苦しみから逃れたいという逃避の欲望
2.よりよく生きたいという自己実現の欲望
だというのです。
そして、1の欲望を「あるがまま」に受け入れたまま、2の欲望を満たす
べく「あるがまま」に行動することで神経症の患者を治療していくというの
です。
例えば、会社の会議で人前で話すときに緊張してガタガタ震える。それが
苦痛でしょうがないから、会社を辞めて会議に出なくてもよい仕事を探した
いという悩みを持った人から相談を受けたとします。
「あなたの本当の欲望は、会議で人前で普通に話せるようになりたいという
ことでしょう?その欲望を抑えて逃げていては何も根本は解決しませんよ。
緊張するということをあるがままに受け入れ、そして自分の本来の欲望を満
たすべく努力しませんか?」というように話かけていくのです。
この話は操体に通じるものがあります。まずは「あるがまま」に受け止める
ということです。臨床のときには本人の心の状態、体の状態をあるがままに
受け止める。そうなってしまったものはしょうがないのだから、なぜそうな
ったのか?に気づきをもってもらいながら、できることから無理なくやって
いくということです。
また、「逃げることは根本解決にならない」というところも共感できます
。「痛い方から楽な方へ逃げてみる」という逃げの操法は緊急避難という意
味で必要な場合もあるかと思いますが、やはり一時的な痛みから逃れるだけ
では本人の気づき、心の根本解決にまでは結びつかないからです。操体はた
だ治ればいい、痛みがとれればいいというものではなくて、自分の意志で「
キモチよさ」のあるこの動きを味わってみたいという、前向きで自発的な方
向へ本人を導くべきものだと思うのです。
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●安定について←最新コラム
動物は「安定」という状態を求める習性があります。人間も動物ですから、
不安定を嫌い、安定を求めます。これは操体では第一に本人に得てもらう感覚
です。「気持ちいい」という快適感覚の前には「心地いい」という安定感覚が
必要なのです。施術中は常に安定している状態をキープしておけば身体を壊す
ようなことはまずありません。
もう少し詳しく言うと、安定というのは重力に馴染んでいて、身体のどこに
も負担がかかっていない、完全にリラックスした状態をいいます。最も安楽な
姿勢になってもらうこと=一番シンプルで効果的な操体ということになります
。歪みが大きい場合はクッションや枕などを使うとよいです。安定せずしてど
んな治療法を施そうとも、あまり効果は期待できないでしょう。
安定を求めるというのは、人生においても同じです。明日がどうなるかわか
らない人生よりも、明日も同じ、明後日も同じ、一ヵ月後も同じ、半年後も同
じ、一年後も同じ、五年後、十年後も同じという安定が安心を生みます。
しかし、面白いもので、あまりにも安定しすぎると今度は刺激が欲しくなっ
てその安定を壊したくなります。安定と適度な刺激。このバランスが大切なの
ですね。操体の考え方では6〜7割の中で間に合って入れば(安定していれば
)合格となります。
「でも、波乱万丈の人生が好きな、安定を求めない人もいるじゃないか?」確
かに安定を求めていないように見えますが、その人にとっては落ち着かない、
飛び回っているような、不安定な状態自体が『心の安定』となっているのでし
ょう。
私も大企業を辞めて経済的には不安定になりましたが、精神的には以前より随
分と安定しています。不思議なものです。みなさんは心身ともに安定していま
すか?
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●本日の操体語録by橋本敬三先生
『感情と骨格、さらに性格と骨格には相関性がある。同様に疾病と骨格にも相
関性がある』
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●編集後記
安定というのは非常に大切なテーマだと思います。心が安定している人は、
人に安心感を与えますよね。心が安定していない人は人を不安にさせてしま
います。不安定な人には大事な仕事は任せられないし、重大な相談ごとなど
もできません。いつも安定した心をもちたいものです。
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